ラスベガス(米国・ネバダ州)と聞くと、多くの人はカジノやエンターテインメントを思い浮かべるでしょう。しかし、MICE業界ではその印象は少し異なります。

ラスベガスは世界最大級の展示会・コンベンション開催都市として、毎年数多くの国際展示会や企業イベントを開催しています。CES(Consumer Electronics Show)やNAB Show、SEMA Showなど、世界的な展示会がこの街を舞台に開催され、ビジネスパーソンが世界中から集まります。ラスベガス・コンベンションセンター(LVCC)は約460万平方フィートの施設規模を誇り、アメリカ有数のコンベンション施設として運営されています。

MICE戦略:「展示会」を都市経済のエンジンにする

ラスベガスのMICE戦略は非常に明確です。都市全体を展示会産業で成長させること。

展示会を開催するために

  • 大規模コンベンション施設
  • 約15万室を超えるホテル
  • 世界各国との航空ネットワーク
  • エンターテインメント
  • レストラン・ショッピング

を一体で整備しています。つまり、会場だけではなく、都市そのものが巨大なMICEインフラになっています。

注目施設:Las Vegas Convention Center(LVCC)

ラスベガスを象徴するMICE施設。

特徴は

  • 約460万平方フィートの施設規模
  • 約250万平方フィートの展示スペース
  • CESをはじめ世界最大級の展示会を開催
  • 最新設備への大規模リニューアルを実施
  • 空港や主要ホテルからアクセス良好

近年の大規模改修により、さらに国際競争力を高めています。

ラスベガスがMICE都市として成功した5つの理由

① 世界トップクラスの展示会ブランド

CESやNAB、SEMAなど、世界的ブランドイベントを継続的に開催。

イベントそのものが都市ブランドを形成しています。

② 圧倒的な宿泊キャパシティ

世界有数のホテル集積地であり、数万人規模のイベントでも宿泊施設を確保できます。

③ 「遊び」と「ビジネス」の融合

展示会終了後も

  • ショー
  • スポーツ観戦
  • レストラン
  • エンターテインメント

など、多彩な体験が参加者の満足度を高めています。

④ 官民一体の誘致活動

Las Vegas Convention and Visitors Authority(LVCVA)が都市全体のマーケティングと誘致活動を担い、新規展示会や国際会議の獲得を積極的に進めています。

⑤ 投資を止めない都市

展示会市場の競争が激化する中でも、コンベンション施設への大型投資やリニューアルを継続し、常に競争力を維持しています。

BizMICE Insight

ラスベガスから学べる最大のポイントは、「イベントを開催する」のではなく、「イベント産業を育てる」という視点です。日本では展示会や国際会議を「単発イベント」として捉えるケースが少なくありません。

一方、ラスベガスでは展示会が

  • ホテル
  • 飲食
  • 交通
  • 小売
  • エンターテインメント

まで波及する都市の基幹産業として位置付けられています。MICEは単なる集客イベントではなく、地域経済全体を活性化させる「産業政策」です。

日本でも自治体やDMO、会場、ホテル、交通事業者が一体となり、「都市全体でMICEを支える仕組み」を構築することが、国際競争力向上の鍵となるでしょう。

Destination Watch Score

評価項目評価
国際競争力★★★★★
展示会誘致力★★★★★
国際会議★★★★☆
アクセス★★★★★
エンターテインメント★★★★★
日本が学べる度★★★★★

日本との比較

項目ラスベガス日本
都市戦略MICEを基幹産業化観光との連携が中心
強み展示会・宿泊・娯楽の一体化安全性・おもてなし・交通網
施設規模超大型コンベンション施設都市ごとに分散
今後の課題国際競争の激化都市全体でのMICE戦略強化

編集部コメント

ラスベガスの強みは、巨大な会場だけではありません。会場、ホテル、交通、エンターテインメントが一体となり、「ここで開催すること自体が価値になる都市」を実現している点にあります。

日本も世界トップクラスの会場や交通インフラを備えていますが、それらを都市全体の体験価値として結び付ける取り組みは、まだ発展の余地があります。MICEを「観光」ではなく「都市経営」の視点で捉えることが、今後の国際競争力向上につながるでしょう。