【This Week in MICE】2026年10月5日週|福祉・AI・医療・農業・ファッション。「社会の変化」が展示会に現れる
10月に入り、秋の展示会シーズンはますます活発になっています。今週(10月5日〜11日)は、東京ビッグサイトと幕張メッセを中心に、福祉、医療、AI、農業、ファッション、ライフスタイルなど、多様なテーマの展示会・カンファレンスが開催されます。
一見するとまったく異なる分野ですが、今週のイベントを並べてみると、現在の日本社会が向き合っているテーマが見えてきます。
高齢化。人手不足。AI。健康。農業DX。新しい消費行動。
展示会は単なる商品・サービスの商談場所ではありません。その時代に企業や社会が何を課題とし、どこに投資しようとしているのか。今週の「This Week in MICE」では、そんな**「社会の変化を映す鏡としての展示会」**に注目します。
① H.C.R.2026 第53回国際福祉機器展&フォーラム
高齢化社会を「テクノロジー」で支える
10月7〜9日、東京ビッグサイトで**「H.C.R.2026 第53回国際福祉機器展&フォーラム」**が開催されます。
国内外の車いす、ベッド、ICT機器などの最新福祉機器が一堂に集まるアジア最大級の展示会で、東1〜3・7・8ホールを使用。商談だけでなく一般来場者も対象としています。ビッグサイト
BizMICE編集部の注目ポイント
福祉機器の展示会では、リアルイベントの強みが非常に分かりやすく表れます。車いすに実際に乗ってみる。機器を操作する。サイズや使い心地を確認する。開発者へ直接質問する。
カタログやWebサイトだけでは分からない**「使ってみなければ分からない情報」**が非常に多い分野です。生成AIによって情報収集が便利になるほど、展示会にはこうしたリアルでしか得られない体験が重要になっていきそうです。
② 生成AIサミット2026
AIは「新しい技術」から「社会インフラ」へ
今週はAI関連イベントにも注目です。10月5〜7日、九段会館テラスでは**「生成AIサミット2026|AIネイティブ社会を議論する3日間」**が開催されます。「生成AI」という言葉が社会に広く知られるようになって数年。
今や議論のテーマは、「生成AIとは何か?」ではなく、「AIが存在することを前提に、仕事や社会をどう変えるのか?」へ移りつつあります。
BizMICE編集部の注目ポイント
これはイベント業界でも同じです。これまでのイベントDXでは、申込をWeb化する。受付をQRコード化する。資料をクラウドで共有する。といった個別業務のデジタル化が中心でした。
しかし生成AIやAIエージェントが普及すると、イベント概要を入力する。AIが必要なタスクを整理する。スケジュールをつくる。必要な手配物を提案する。進捗をチェックする。運営マニュアルを作成する。
といったように、イベントプロジェクト全体をAIと一緒に進める世界が見えてきます。イベントDXも「ツールを使う」段階から、「AIと仕事をする」段階へ進み始めています。
③ メディカルジャパン【東京】
「医療」という巨大テーマをさらに細分化
10月7〜9日、幕張メッセでは**「第9回 メディカルジャパン【東京】[医療・介護・薬局Week 東京]」**が開催されます。特徴的なのは、一つの大きな医療展示会ではなく、
病院EXPO、介護・福祉EXPO、クリニックEXPO、次世代薬局EXPO、未病・予防・健康EXPO、医療DX EXPO、そして今回第1回となる健診・人間ドックEXPOなど、複数の専門展示会で構成されている点です。
BizMICE編集部の注目ポイント
ここでも前回の「This Week in MICE」で取り上げた専門特化が進んでいます。
例えば「健康」というテーマ一つを取っても、治療する。介護する。予防する。健康状態を測る。データを管理する。それぞれ必要なサービスも来場者も異なります。そこで大きなテーマを細分化し、「自分の課題に関係する展示会」を見つけやすくする。
これは、現在の展示会設計の大きな潮流の一つと言えそうです。
④ 農業WEEK
農業にもDX・脱炭素・予防という新しいテーマ
同じ10月7〜9日、幕張メッセでは**「第16回 農業WEEK(J-AGRI TOKYO)」**も開催されます。農業資材EXPO、スマート農業EXPO、次世代農業経営EXPO、畜産資材EXPO、農業 脱炭素・SDGs EXPOなどが開催され、今年は「畜産 予防・衛生EXPO」も第1回として予定されています。
BizMICE編集部の注目ポイント
「農業の展示会」と聞くと、農機具や肥料などをイメージするかもしれません。
しかし現在は、
AI・IoT
ロボット
経営
脱炭素
衛生・予防
までテーマが広がっています。これは非常に興味深い変化です。テクノロジーの進化によって、これまで別々だった産業同士の境界が薄くなっています。
農業×AI。
医療×DX。
福祉×ロボット。
イベント×AI。
展示会も、単一の業界だけを見る場所ではなく、異なる産業が交わる場所へ変化しています。
⑤ FaW TOKYO 秋
ファッションにも「テクノロジー」と「社会課題」
東京ビッグサイトでは10月7〜9日、**「FaW TOKYO秋 ファッションワールド秋 2026」**も開催されます。
東京ビッグサイトは同展を、日本最大のファッション展であり、業界の最新トレンドやビジネスチャンスが生まれる場と位置付けています。ビッグサイト
BizMICE編集部の注目ポイント
ファッション業界も大きな変化の中にあります。EC、SNS、インフルエンサー、サステナビリティ、素材技術、海外市場。商品そのものだけではなく、**「どうつくり、どう売り、どうブランド体験をつくるか」**までがビジネスの対象になっています。
展示会も「服を並べる場所」ではなく、業界全体の変化を体感する場所になっています。
今週のMICEトレンド
展示会を見ると「次に伸びる市場」が見えてくる
今週の展示会を並べてみましょう。
福祉。
医療DX。
予防・健康。
スマート農業。
脱炭素。
AI。
ファッション。
偶然このテーマが集まっているわけではありません。企業が課題を感じている。そこに新しい技術やサービスが生まれる。新規参入する企業が増える。
そして、企業と顧客を出会わせるために展示会が生まれる。つまり展示会は、「市場が生まれている場所を可視化する装置」とも言えます。
「第1回」の展示会に注目する
展示会を見る際、BizMICEとしてぜひ注目したいのが**「第1回」**という表記です。今週の幕張メッセでは、「健診・人間ドック EXPO」「畜産 予防・衛生EXPO」といった第1回の展示会が予定されています。
なぜ新しい展示会が立ち上がるのでしょうか。そこには、新しい市場が生まれている。既存市場が細分化している。企業の課題が変わっている。新しいテクノロジーが登場している。といった背景があります。
展示会の「第1回」を追いかけると、これから成長する産業のヒントが見えてくるかもしれません。
もう一つのMICEトレンド
国際会議は「開催地の産業」と結びつく
展示会以外にも、最近のMICEで興味深い動きがあります。
帯広では、アジアで初めてとなる国際動物繁殖学会が開催され、58カ国・地域から1,133人が参加。畜産都市としての帯広の産業と国際会議を結びつけるMICEとなりました。これは地方都市のMICE戦略を考えるうえで重要な事例です。
東京や大阪のような巨大都市と、会場規模や交通利便性だけで競う必要はありません。
農業なら北海道。
自動車なら愛知。
伝統産業なら京都。
というように、「その土地だからこそ開催する意味」をつくることができます。国際会議を誘致することは、単に参加者を地域へ呼び込むだけではなく、地域産業を世界へ発信する機会にもなります。
編集部より
今週のイベントを見ていると、展示会が単なる「商品を並べる場所」ではなくなっていることがよく分かります。福祉なら、高齢化社会。医療なら、予防とDX。農業なら、人手不足とスマート化。AIなら、仕事そのものの変化。イベントには、その時代の課題が集まります。
だからこそ展示会へ行くとき、出展されている商品だけを見るのではなく、「なぜ今、この展示会が開催されているのか?」と考えてみる。
すると、その業界がこれからどこへ向かうのかが見えてくるかもしれません。展示会は、未来の商品を見る場所であると同時に、未来の社会を見る場所でもあるのです。







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