イベント本番まで、あと数時間。会場設営も終わり、映像も準備した。進行台本も完成し、スタッフの役割も決まっている。「これなら大丈夫」そう思いたくなるところですが、まだ重要な工程が残っています。

それが、リハーサルです。イベントは、資料上では完璧に見えていても、実際の会場で人・機材・導線を動かしてみると、「登壇者がステージまで移動するのに思ったより時間がかかる」「映像が終わってからMCが話し始めるまで間が空く」「この位置では登壇者の顔に照明が当たらない」「受付から会場までの誘導が分かりにくい」といった問題が見つかることがあります。

リハーサルは単なる「本番の練習」ではありません。本番で起こるかもしれない問題を、本番前に発見するための時間なのです。今回は、イベント担当者が知っておきたいリハーサルの種類から、確認項目、効率的な進め方まで解説します。

なぜイベントにリハーサルが必要なのか?

イベントには、

  • 主催者
  • MC
  • 登壇者
  • 運営スタッフ
  • 受付スタッフ
  • 音響スタッフ
  • 映像スタッフ
  • 照明スタッフ
  • 会場スタッフ

など、多くの人が関わります。それぞれが自分の仕事を理解していても、全員が連動して動けるとは限りません。

例えば、進行台本には、

「14:00 オープニング映像」

「14:02 MC登壇」

と書かれていたとします。しかし実際には、

映像終了

照明転換

MC登壇

立ち位置へ移動

MCマイクON

MCコメント開始

という複数の動作があります。この一連の流れを実際に確認するのがリハーサルです。

リハーサルには種類がある

一口にリハーサルといっても、目的によって内容が異なります。代表的なものを整理してみましょう。

★準備からリハーサル、本番まで。イベントプロジェクトを一元管理「MICE Joy」

① 場当たり

出演者や登壇者の立ち位置や動線を確認するリハーサルです。

例えば、

  • どこから登壇するか
  • どこに立つか
  • どこから退場するか
  • マイクをどこで受け取るか
  • 椅子にどう着席するか

などを確認します。すべてのプログラムを実施する必要はなく、必要な場面だけを確認する方法です。劇場施設の案内でも、場当たりは出演者の立ち位置確認、登退場や動線などを確認する工程として整理されています。

② テクニカルリハーサル

主に、

  • 音響
  • 映像
  • 照明
  • 配信
  • 舞台転換

など、技術面を確認するリハーサルです。例えば、「このMCコメントをきっかけに映像をスタート」「映像終了と同時にステージ照明ON」「登壇者がステージ中央に来たらピンマイクON」といったキューを確認します。演出の多いイベントほど重要な工程です。

③ 通しリハーサル

イベントを開演から終演まで順番に通して確認するリハーサルです。個別の動きだけでなく、

  • 全体の所要時間
  • セッション間のつながり
  • 登壇者の出入り
  • 転換時間
  • スタッフ間の連携

などを確認します。ここでは「一つひとつを完璧にする」というより、イベント全体が一つの流れとして成立しているかを見ることが重要です。

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リハーサルで確認したい8つのポイント

① 進行時間

まず確認したいのが、実際の所要時間です。進行台本上では、「主催者挨拶 5分」となっていても、実際に話してみたら8分かかることがあります。これが複数のプログラムで発生すると、イベント全体が大幅に押してしまいます。

リハーサルでは実際に時間を測り、予定時間と実際の時間にズレがないか確認しましょう。

② 登壇者の動線

登壇者については、控室 → ステージ袖 → 登壇 → 降壇 → 控室まで実際に歩いて確認します。チェックしたいのは、

  • 移動時間
  • 登壇位置
  • 立ち位置
  • 降壇位置
  • ステージ上の段差
  • マイクの受け渡し

などです。特に登壇者が複数いる場合は、「次の登壇者がいつ、どこで待機するのか」まで決めておきます。

③ MCと進行ディレクターの連携

MCと進行ディレクターの連携も重要です。例えば、「映像が終了してからMCが話し始める」のか、「映像終了直前からMCが話し始める」のか。数秒の違いでもイベントの印象は変わります。

第11回で紹介した進行台本とキューを使いながら確認しましょう。

④ 映像

映像は、

  • 正しいファイルが再生されるか
  • 映像サイズは正しいか
  • 音声は出るか
  • 再生開始のタイミング
  • 終了後の画面
  • プレゼン資料の表示

などを確認します。「映像が再生できる」だけでなく、前後のプログラムと自然につながっているかまで見ることがポイントです。

⑤ 音響

音響では、

  • MCマイク
  • 登壇者マイク
  • BGM
  • 映像音声
  • 会場スピーカー

などを確認します。実際に人が話し、「後方の席まで聞こえるか」「ハウリングしないか」「BGMが大きすぎないか」などもチェックします。

⑥ 照明

照明では、

  • MC
  • 登壇者
  • パネルディスカッション
  • 映像上映
  • 表彰
  • 写真撮影

など、それぞれのシーンを確認します。特に写真・動画撮影がある場合は、実際にカメラ越しでも確認すると安心です。

⑦ ステージ転換

イベントでは意外と時間がかかるのが「転換」です。

例えば、

講演

パネルディスカッション

へ移る際、

  • 椅子を4脚設置
  • テーブルを設置
  • マイクを準備
  • 水を置く
  • 登壇者5名を誘導

といった作業が発生します。「転換3分」と台本に書いていても、本当に3分でできるとは限りません。リハーサルで実際に測ってみましょう。

⑧ 受付・参加者導線

リハーサルというとステージだけに目が向きがちですが、参加者導線も重要です。第13回で紹介した、入口 → 受付 → クローク → 会場をスタッフが実際に歩いて確認します。

さらに、

  • トイレ
  • 喫煙場所
  • 非常口
  • 懇親会会場

なども確認します。会場施設でも、受付スタッフが入場列や誘導方法などを事前に確認することが案内されています。

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リハーサルは「全部を同じ密度で確認しない」

リハーサル時間には限りがあります。そこで重要なのが、リスクの高いところから確認することです。

例えば、

優先度:高

  • オープニング
  • 映像・音響・照明が連動する演出
  • 表彰
  • 複雑なステージ転換
  • VIP登壇
  • ライブ配信

優先度:中

  • 登壇者の出入り
  • MCとの掛け合い
  • パネルディスカッション

優先度:低

  • 単独講演
  • 休憩
  • シンプルなクロージング

というように整理できます。限られた時間では、失敗したときの影響が大きい場面を優先することがポイントです。

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効率的なリハーサルの順番

イベントの規模や内容によって変わりますが、一例として、

① 各パート・機材の個別確認

② 場当たり

③ テクニカルリハーサル

④ 問題箇所の修正

⑤ 通しリハーサル

という流れが考えられます。リハーサルを「単体確認 → 技術・キュー確認 → 全体を通す」の順で進めると、限られた時間でも問題を切り分けやすくなります。

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通しリハーサルはなるべく止めない

通しリハーサルでは、小さなミスがあるたびに止めてしまうと、イベント全体の流れを確認できません。細かな問題はメモしておき、致命的な問題でなければ最後まで進めるという方法も有効です。

通しながら、

  • 予定時間との差
  • 不自然な間
  • 転換時間
  • 登壇者の動き
  • スタッフ連携

を確認します。通しリハーサルを「全体の流れを見る工程」とし、細部の修正をその前のテクニカル確認などで行う考え方もあります。

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リハーサルで問題が見つかるのは「成功」

リハーサル中に問題が次々と見つかると、「こんなに問題があって大丈夫だろうか」と不安になるかもしれません。しかし、本番前に問題が見つかったのであれば、それはむしろリハーサルが機能しているということです。

大切なのは、問題発見 → 対応決定 → 資料修正 → 全員へ共有まで行うこと。

リハーサルで見つかった課題は、本番までに解消することが重要です。実際、公的なイベント運営業務の仕様でも、通しリハーサルで認識された課題を開催当日までに解決することが求められている例があります。

★準備からリハーサル、本番まで。イベントプロジェクトを一元管理「MICE Joy」

リハーサル後に必ず更新する3つの資料

リハーサルが終わったら、そのまま本番を迎えるのではなく、少なくとも次の資料を確認・更新します。

① 進行台本

キュー、時間、登壇・降壇、映像、音響、照明などを修正。

② 運営マニュアル

スタッフ配置、導線、受付、登壇者対応などを修正。

③ スタッフ共有事項

リハーサルで決まった変更点を整理します。

そして何より重要なのが、「最新版を全員が見ている状態」にすること。リハーサルで修正したのに、一部スタッフが古い進行台本を使っていては意味がありません。

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開場前「最終5分チェック」

すべてのリハーサルが終わったら、最後に主要スタッフで短時間の確認を行いましょう。

  • 進行台本は最新版か
  • 映像ファイルは最終版か
  • マイクは正常か
  • 登壇者は到着しているか
  • 登壇者の待機場所は共有されているか
  • 受付準備は完了しているか
  • スタッフ配置は完了しているか
  • 緊急連絡先は共有されているか
  • トラブル発生時の責任者は明確か

最後に全員で、「変更点はありませんか?」と確認するだけでも、認識のズレを見つけられることがあります。

★準備からリハーサル、本番まで。イベントプロジェクトを一元管理「MICE Joy」

編集部より

リハーサルの目的は、「本番を一度やってみること」ではありません。本当の目的は、「本番で起こり得る問題を、本番前に見つけること」です。

そのため、リハーサルで失敗することを恐れる必要はありません。映像が出ない。登壇者が間に合わない。転換に時間がかかる。スタッフが動きを理解していない。それらを本番前に発見し、修正できれば、リハーサルは成功です。

そして、リハーサルで発生した変更を確実に本番へ反映するためには、プロジェクト情報の一元管理も重要になります。

イベントプロジェクト管理ツール**「MICE Joy」**では、イベントスケジュール(WBS)をAIで生成し、チームで情報を共有しながらプロジェクトを進めることができます。イベント準備には多くの関係者が参加します。

だからこそ、計画する → リハーサルする → 修正する → 全員で共有する → 本番へというサイクルをスムーズに回すことが、イベント成功につながります。

本番で「想定外」をゼロにすることは難しくても、想定できることを一つでも多く本番前に潰しておく。それがリハーサルの最大の価値です。

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