【イベントDXの新常識 ~参加者体験から考えるイベントの未来~】第4回 情報が届かないイベントは、なぜ評価されないのか
イベントは「情報戦」である。
会場や登壇者、演出にどれだけこだわっても、参加者に必要な情報が届かなければ、その価値は十分に伝わらない。実際、イベント終了後のアンケートを見ると、「セッション開始に気付かなかった」「会場変更を知らなかった」「資料のダウンロード方法が分からなかった」「交流会の開始時間を見逃した」といった声は決して少なくない。
イベントの評価を下げる原因は、大きなトラブルではなく、「伝わらなかった」という小さな積み重ねなのである。
情報は「発信した」ではなく、「届いた」が重要
主催者は、
「ホームページに掲載した」
「受付で案内した」
「メールを送った」
というだけで安心してしまいがちだ。しかし参加者の視点では、
「見ていない」
「気付かなかった」
「知らなかった」
ということが頻繁に起こる。つまり、情報を発信することと、情報が届くことはまったく別である。イベントDXでは、この考え方が非常に重要になる。
イベント中は「情報」が常に変化する
イベント当日は、想定外のことが起きる。
例えば、
- 登壇者の変更
- セッション開始時間の変更
- 会場変更
- 雨天による導線変更
- 懇親会会場の変更
- 忘れ物や落とし物の案内
こうした情報は、できるだけ早く参加者へ伝える必要がある。しかし紙の掲示や館内アナウンスでは、全員に確実に届けることは難しい。イベントでは「リアルタイム性」が求められているのである。
プッシュ通知が参加者体験を変える
スマートフォンが普及した今、情報伝達の方法も変わった。
例えば、
「10分後に基調講演が始まります。」
「A会場は満席です。B会場をご利用ください。」
「交流会は18時より3階ホールで開催します。」
こうした情報をタイムリーに通知できれば、参加者は迷うことなく行動できる。
重要なのは、参加者が情報を探しに行くのではなく、情報のほうから参加者へ届くことである。これがイベントDXの考え方である。
情報発信は「マーケティング」にもなる
リアルタイム配信は、当日の運営だけではない。
イベント前には、
- 来場リマインド
- 会場アクセス
- 持ち物案内
- 注目セッション紹介
イベント後には、
- アーカイブ配信
- アンケート
- 次回イベント案内
- 関連資料配布
などにも活用できる。イベントは「開催当日だけ」で終わるものではない。開催前から開催後まで、一貫したコミュニケーション設計が重要なのである。
情報設計もイベントデザインの一部
イベントというと、どうしても会場演出やステージデザインに目が向きがちだ。しかし実際には、「いつ」「誰に」「どんな情報を」「どの手段で届けるか」という情報設計そのものが、イベント品質を左右している。
参加者が迷わない。
不安にならない。
必要な情報が自然と届く。
これもまた、参加者体験を構成する重要な要素なのである。
編集部より
イベントDXとは、派手なテクノロジーを導入することではありません。参加者が安心して行動できる環境をつくること。そのためには、「情報が届く仕組み」を設計することが欠かせません。
イベントの満足度は、演出だけでなく、情報発信の品質によっても大きく左右されます。
次回は、「イベントの価値は”交流”で決まる―ネットワーキングをデザインする時代へ」をテーマに、イベントならではの「人と人をつなぐ価値」について考えます。







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