20年前まで、ドバイは「砂漠の都市」というイメージが強い街でした。

しかし現在では、世界中から年間数百万人のビジネス来訪者が訪れる、中東最大級のMICE都市へと成長しています。

2021年から2022年に開催されたExpo 2020 Dubaiでは、192の国・地域が参加し、累計来場者は2,400万人を超えました。世界中の企業や政府機関が集まり、ドバイの国際的な存在感を大きく高める契機となりました。

では、なぜドバイは短期間で世界有数のMICE都市へと飛躍できたのでしょうか。今回は、その成功を支えた5つのポイントを見ていきます。

1. MICEを国家成長戦略の中心に据えた

ドバイでは、MICEは単なる観光施策ではありません。海外企業の誘致、投資の呼び込み、新産業の育成を進めるための国家戦略として位置付けられています。

その中核を担うのが、**Dubai Department of Economy and Tourism(DET)Dubai Business Events(DBE)**です。国際会議や展示会の誘致だけでなく、開催後の企業進出や投資促進まで一体で支援する体制が整っています。

2. 世界中から集まりやすい「ハブ空港」

ドバイ国際空港(DXB)は、世界有数の国際旅客数を誇るハブ空港です。

ヨーロッパ、アジア、アフリカを結ぶ地理的優位性を活かし、多くの都市から乗り継ぎなし、または短時間でアクセスできます。

国際イベントでは「参加しやすさ」が成功の大きな要素であり、ドバイはその強みを最大限に活かしています。

3. 世界最大級の展示・コンベンション施設

ドバイには、

  • Dubai World Trade Centre(DWTC)
  • Madinat Jumeirah Conference Centre
  • Expo City Dubai

など、国際イベントに対応できる大型施設が集積しています。

特にDWTCでは、GITEX GLOBALやArab Healthなど世界的な展示会が毎年開催され、数十万人規模の来場者を集めています。

展示会だけでなく、ホテル、商業施設、レストランとの連携も進み、都市全体でイベントを支える仕組みが構築されています。

4. Expo 2020が都市ブランドを変えた

Expo 2020 Dubaiは、単なる万博ではありませんでした。

未来都市、AI、サステナビリティ、モビリティなどをテーマに、世界へ「未来を体験できる都市」というブランドを発信しました。

万博終了後も会場はExpo City Dubaiとして再整備され、展示会やスタートアップ支援、研究開発拠点として活用されています。

イベントを一過性で終わらせず、都市の資産へ転換した点は大きな特徴です。

5. 官民連携によるスピード感

ドバイの最大の強みは、意思決定の速さです。

行政、空港、ホテル、会場運営会社、観光局が連携し、新たな国際イベントの誘致や大型投資をスピーディーに進めています。

イベント主催者にとっても、許認可や調整が円滑で、開催しやすい環境が整っています。

日本が学ぶべき5つのポイント

ドバイの成功から、日本が学べることは少なくありません。

① MICEを「都市戦略」として考える

イベント単体ではなく、産業振興や投資誘致と結び付ける発想が重要です。

② 官民連携を強化する

自治体、会場、ホテル、観光事業者が共通の目標を持ち、誘致活動を進めることが求められます。

③ イベント後のレガシーを残す

一度きりの開催で終わらせず、会場やネットワークを継続的な資産として活用する視点が必要です。

④ アクセスと参加体験を磨く

会場だけでなく、交通、宿泊、飲食、観光を含めた「参加者体験」の設計が都市の競争力につながります。

⑤ 未来を体験できるイベントを増やす

AIやGX、ロボティクスなど、日本の強みを活かしたテーマ型イベントを育成することで、世界から人と企業を呼び込めます。

編集部より

ドバイの成功は、豪華な建築物や巨大な展示会場だけによるものではありません。

「イベントを都市の成長エンジンにする」という明確なビジョンを持ち、官民が一体となって投資と誘致を続けてきた結果です。日本にも世界に誇る会場や観光資源があります。

次のステップは、それらを点ではなく線でつなぎ、都市全体で価値を提供することではないでしょうか。MICEは、地域経済を活性化し、新たなビジネスやイノベーションを生み出す「都市経営のプラットフォーム」です。

ドバイの事例は、その可能性を改めて教えてくれます。