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【Destination Watch/Vol.2】バンコクが描くMICE戦略──ASEANを代表するビジネスハブは、なぜ世界中のイベントを惹きつけるのか

DESTINATION WATCH

🇹🇭 バンコク(タイ)

タイの首都バンコクは、人口約1,100万人を擁する東南アジア有数の大都市であり、ASEAN経済圏の中心都市の一つです。

スワンナプーム国際空港をはじめとする充実した航空ネットワーク、高品質なホテル、都市鉄道(BTS・MRT)などの交通インフラを背景に、多くの国際会議や展示会、インセンティブ旅行を受け入れています。

また、製造業、食品、医療、観光、デジタル産業など、多様な産業が集積しており、MICEと産業振興を結び付けやすい都市でもあります。

バンコク(タイ)のMICE戦略

「イベント誘致」ではなく「産業を育てる仕組み」としてMICEを活用

タイ政府は、MICEを国家の重要産業として位置付けています。その中心を担うのが**Thailand Convention and Exhibition Bureau(TCEB)**です。TCEBは、展示会や国際会議を誘致するだけではありません。

政府、地方自治体、産業団体、大学、会場、ホテル、航空会社などを巻き込みながら、

  • 海外企業との商談創出
  • 投資誘致
  • イノベーション創出
  • 地域経済の活性化

までを視野に入れた政策を展開しています。

例えば現在は、

  • EV・次世代モビリティ
  • 医療・ヘルスケア
  • 食品・アグリテック
  • デジタル・AI
  • スタートアップ

など、タイが重点的に育成する産業と連動した展示会・国際会議を積極的に支援しています。展示会を開催することがゴールではなく、「世界中の企業・投資家・研究者が集まり、新たなビジネスが生まれる場をつくる」ことがタイのMICE政策の目的です。そのため、イベント終了後も商談や投資につながる仕組みづくりが重視されています。

注目施設

Queen Sirikit National Convention Center(QSNCC)

2022年に全面リニューアルしたQSNCCは、タイを代表するMICE施設です。最新の展示ホール、会議室、国際会議機能を備えるだけでなく、

  • MRT駅直結
  • 周辺ホテルとのアクセス
  • 飲食・商業施設

まで一体化されています。「イベント会場」ではなく、都市のビジネス交流拠点として設計されている点が特徴です。

成功要因

バンコクが世界中のMICE(イベント)を集める5つの理由

① 官民一体の誘致体制

TCEBを中心に政府・自治体・民間企業が同じ方向を向いています。

② ASEAN最大級のビジネス都市

ASEAN市場への玄関口として、多くの海外企業が拠点を構えています。

③ コスト競争力

欧米や日本と比較して開催コストを抑えられる一方、高品質なサービスを提供できることも強みです。

④ 豊富なホテル・観光資源

インセンティブ旅行や国際会議後の滞在プログラムも充実しています。

⑤ 成長産業との連携

展示会や国際会議を、産業政策や海外投資の呼び水として活用しています。

BizMICE Insight

バンコクから学べる最大のポイントは、「MICEは地域産業を成長させるインフラである」という考え方です。日本では、「MICE=観光振興」というイメージが根強くあります。しかしタイでは、

MICE=企業・投資・人材・技術を呼び込む経済政策

として位置付けられています。

例えば日本でも、

  • 半導体(熊本)
  • 宇宙産業(北海道)
  • ライフサイエンス(神戸)
  • コンテンツ(東京)
  • GX(関西)

など、それぞれの地域が強みを持つ産業と国際会議・展示会を組み合わせることで、新たなビジネスや投資を生み出すことができます。「会場を建設すること」が目的ではなく、“その都市だからこそ開催する意味があるイベントを育てること”こそが、これからのMICE戦略に求められる視点ではないでしょうか。

Destination Watch Score

評価項目評価
国際競争力★★★★★
展示会誘致力★★★★★
国際会議★★★★☆
インセンティブ旅行★★★★★
都市ブランド★★★★☆
日本が学べる度★★★★★

編集部コメント

バンコクの事例は、「大型施設を整備すればMICE都市になれる」という考え方では成功できないことを示しています。

都市の強みとなる産業を見極め、それに適したイベントを継続的に育成し、世界中の企業や人材を呼び込む。この循環こそが、都市競争力を高める原動力となっています。

日本でも、大阪・関西万博後のレガシーをどう生かし、各地域の産業とMICEを結び付けるかが重要なテーマになるでしょう。

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