業界トレンド

【Global MICE Trends】アジアが牽引するMICE競争力──都市ブランドと国際ビジネスの新たな潮流

GLOBAL MICE TRENDS

今週の海外MICE市場では、「都市ブランドの強化」「大型MICE施設への継続投資」「国際ビジネスとの連携」が共通テーマとして見えてきました。

特にアジアでは、MICEを単なるイベント開催ではなく、投資誘致やイノベーション創出につなげる都市戦略として位置付ける動きが引き続き進んでいます。

シンガポールは「MICE開催地」から「アジアの都市戦略ハブ」へ

シンガポールは、アジア有数のMICE都市として知られていますが、その強さは単に大型コンベンション施設を持っていることだけではありません。国際空港、都市インフラ、ホテル、金融機関、多国籍企業、政府機関がコンパクトに集積しており、国際会議・展示会・商談・投資交流を一体で設計しやすい点に大きな特徴があります。

近年のシンガポールで注目すべきは、MICEを「イベント開催」ではなく、都市政策や産業振興と結び付けている点です。たとえば、2026年6月には「Suntec Singapore Convention & Exhibition Centre」で、アジア太平洋地域の不動産・インフラ投資をテーマにしたBtoB展示会「EXPO REAL Asia Pacific 2026」が初開催される予定です。同イベントはWorld Cities Summit、Asia Infrastructure Forumと連携して開催される計画で、都市開発、インフラ投資、ESG、PropTech、スマートシティなどを横断的に扱う場となります。

これは、シンガポールが単なる展示会開催地ではなく、「アジアの都市課題と投資をつなぐビジネスプラットフォーム」を目指していることを示しています。MICEを通じて政府、都市開発事業者、投資家、金融機関、テクノロジー企業を集め、都市の未来に関する意思決定が行われる場をつくっているのです。

また、シンガポールは航空・防衛分野でも国際的な展示会を育ててきました。Singapore Airshowは、政府・軍関係者や世界の航空宇宙企業の幹部が集まる大型トレードイベントとして位置付けられており、国際商談や産業ネットワーキングの場として機能しています。

BizMICE Insight

シンガポールのMICE戦略から学べるのは、「施設を整備すればMICE都市になれる」という単純な話ではないということです。

重要なのは、都市が持つ産業テーマとMICEを接続することです。シンガポールの場合、都市開発、金融、航空、テクノロジー、スマートシティといった強みを、国際会議や展示会と組み合わせています。その結果、MICEが観光振興だけでなく、投資誘致、企業誘致、国際的な政策対話の場として機能しています。

日本の自治体やDMOにとっても、示唆は大きいでしょう。自地域の強みが「ものづくり」なのか、「医療」なのか、「食」なのか、「スタートアップ」なのかを明確にし、その産業テーマに合った会議・展示会・商談会を育てることが、これからのMICE戦略では重要になります。

つまり、MICE都市の競争力は、会場の広さだけではなく、その都市でなければ語れないテーマを持っているかによって決まる時代に入りつつあります。

世界の注目都市

🇸🇬 シンガポール

アジアのMICEハブとして国際競争力を維持。

🇦🇪 ドバイ

大型国際展示会・インセンティブ旅行の誘致を継続。

🇰🇷 ソウル

デジタル技術とコンテンツ産業を生かしたMICE施策を推進。

🇯🇵 日本・大阪

大阪・関西万博を契機に、国際会議や企業イベントへの注目が高まっています。

編集部コメント

今週の海外動向から見えてきたのは、「都市全体でMICEを支える」という世界的な潮流です。

BizMICEでは今後も、海外の先進事例を紹介するだけでなく、「日本でどのように応用できるか」という視点を大切にしながら、実務に役立つ情報を発信していきます。