特集

【IT・DX・AI総合展2026】1日目レポート AI活用は“導入”から“業務実装”の時代へ

IT・DX・AI総合展1日目

イベント概要

イベント名:IT・DX・AI総合展
取材日:2026年4月8日(水)
取材対象:展示会1日目カンファレンス

本展示会の1日目カンファレンスでは、マーケティング自動化、AIエージェント、現場業務の自動化といったテーマを軸に、AIやDXを「導入すること」ではなく、いかに実務成果につなげるかに焦点を当てた講演が行われました。今回取材した3つのセッションからは、部門ごとの効率化を超えて、業務プロセスそのものをどう変えていくかという視点が色濃く感じられました。①脱メルマガ配信!商談機会を最大化するMA自動化とリード育成の鉄則

①AIが解き放つ日本企業の潜在能力:Google Cloudの強固なAI基盤と自律型エージェント

― 生成AIは“支援ツール”から“業務を動かすエージェント”へ ―

Google Cloudの講演では、生成AIの役割が、議事録作成やメール返信を助ける個人向けの支援から、企業内のデータを横断的に理解し、自律的に業務を進めるエージェントへ進化していることが示されました。Gemini Enterpriseは、社内に散在する資料や議事録、顧客対応履歴などを文脈ごと理解する“頼れるベテラン社員”のような存在として説明され、AIが単なる回答役ではなく、業務変革の司令塔になっていく未来像が語られました。

講演後半では、AI活用が「個人の業務支援」から「社内データ連携」、さらに「半自律型エージェント」、そして「マルチエージェントによる業務実行」へと段階的に進むという整理が印象的でした。その一方で、現実にはROIの見えにくさ、ツール選定やガバナンスの難しさ、データの分散といった壁も大きいと指摘されています。だからこそ重要なのは、AIを導入すること自体ではなく、社内データをどうつなぎ、どこまで任せ、どこを人が判断するかを設計することだというメッセージです。製造現場の保守点検や部品調達を題材にしたデモでは、画像入力から報告書作成、在庫確認、発送手配までが半自律的に進む様子も示され、AIの活用が“会話”の段階から“業務遂行”の段階へ進みつつあることが具体的に伝わる内容でした。

②現場の仕事は、どこまで自動化できるのか

― 自動化が止まる理由は、技術ではなく“現場で使われる設計”にある ―

アタラキシアDXの講演では、業務自動化がPoCで止まり、現場に広がらない理由について、より実践的な視点から整理が行われました。人手不足が深刻化する中で、管理・確認・入力といった業務をどこまで自動化できるかが問われる一方で、実際には「ツールを入れたのに使われない」「思ったほど成果につながらない」というケースが少なくありません。本講演では、その背景にある課題として、選定の難しさ、指示や業務設計の曖昧さ、現場で使い続けられないことが繰り返し示されていました。

特に重要なのは、AIに丸投げするのではなく、どの業務をどう整理し、何を判断基準にするのかを先に明確にしておくことです。曖昧な指示のままでは期待した結果は得られず、結局は現場に戻ってしまう。逆にいえば、自動化を成功させる鍵は、最新ツールの導入そのものではなく、業務の棚卸しと設計、そして現場が無理なく使える形に落とし込むことにあるということです。派手なAI活用事例が注目されがちな中で、本講演は自動化の成否を分けるのは現場実装の精度だと改めて気づかせる内容でした。

まとめ

今回取材した3つの講演に共通していたのは、AIや自動化を「便利な新技術」として紹介するのではなく、業務成果につなげるための設計論として語っていた点です。MAでは営業連携まで含めた自動化、Google Cloudでは社内データを土台としたエージェント活用、現場DXではPoCで終わらせない設計と定着。この3つは領域こそ異なりますが、いずれも「導入」ではなく「実装」と「運用」に価値があることを示していました。

IT・DX・AI総合展1日目のカンファレンスは、AI活用の可能性を広げるだけでなく、現場で本当に機能する仕組みへ落とし込むための視点を共有する場になっていたと言えそうです。技術の進化が加速する今だからこそ、問われているのは「何ができるか」だけではなく、それをどう業務に根づかせ、成果に変えるかなのだと感じさせる1日でした。