世界のMICE業界では、イベントそのものだけでなく、「開催都市の価値」や「参加者一人ひとりの体験」を高める取り組みが加速しています。AIの実装はもちろん、アクセシビリティやレガシー創出まで含めた総合的な価値づくりが、国際会議・展示会の競争力を左右する時代に入りました。

今週のGlobal MICE Trendsでは、世界で注目される3つのトレンドをご紹介します。

① AIは「効率化」から「イベントデザイン」へ

10月開催のIMEX America 2026では、今年の教育プログラムの主要テーマとして、AI、イベントデザイン、サステナビリティ、アクセシビリティが掲げられています。

注目すべきは、AIを単なる業務効率化ツールではなく、

  • イベントコンセプト設計
  • 参加者体験のデザイン
  • マーケティング最適化
  • パーソナルブランディング

など、より戦略的な活用方法に焦点が当てられている点です。世界のイベント業界では、「AIを導入するか」ではなく、「AIをどう活用して価値を生み出すか」が議論の中心となっています。

★イベント運営もAIと伴走する時代へ

② 開催都市は「会場」ではなく「地域全体」で選ばれる時代

IMEXは先日、新たなホワイトペーパー「Place Leadership and the Business Events Sector」を公開しました。

その中では、コンベンションビューローや開催都市には、イベントを誘致するだけでなく、

  • 人材を惹きつける
  • 投資を呼び込む
  • イノベーションを育てる
  • 地域ブランドを高める

といった「都市経営」の視点がこれまで以上に求められると指摘しています。これは日本のMICE都市にとっても重要な示唆です。

今後は「立派な会場がある」ことだけでは差別化できず、産業集積やスタートアップ支援、大学・研究機関との連携など、都市全体の魅力が国際会議誘致の競争力になっていくでしょう。

★イベント運営もAIと伴走する時代へ

③ 「誰もが参加しやすいイベント」が新たなスタンダードに

海外では、アクセシビリティ(利用しやすさ)への取り組みが急速に進んでいます。例えば、オーストラリア・シドニーのICC Sydneyは、神経多様性(ニューロダイバーシティ)にも配慮した常設の「Quiet Room(静養スペース)」を開設し、認証を取得しました。

さらにIMEX Americaでも、アクセシビリティは主要テーマの一つとして取り上げられています。高齢化や多様な働き方が進む中、今後は

  • 静養スペース
  • バリアフリー導線
  • 多言語対応
  • 字幕・音声支援

などは「あると良い設備」ではなく、「選ばれるイベント」に必要な標準装備になっていく可能性があります。

★イベント運営もAIと伴走する時代へ

BizMICE Insight

今回のトレンドを一言でまとめるなら、**「イベントの競争力は、開催当日だけでは決まらない」**ということです。AIによる企画・運営の高度化、都市全体のブランド力、そして誰もが参加しやすい環境づくり──。

世界のMICE業界では、「イベントを成功させる」から、「イベントを通じて地域・企業・参加者に長期的な価値を生み出す」ことへと軸足が移っています。

日本でも2025年大阪・関西万博を契機に、国際会議や企業イベントの質がより重視される流れは今後さらに強まるでしょう。BizMICEとしても、世界の先進事例を継続的に発信し、日本のイベント業界に新たなヒントを届けていきます。

★イベント運営もAIと伴走する時代へ