世界のMICE業界では、イベントを「開催すること」から、「社会・地域・企業にどのような価値を残すか」へと評価軸が大きく変わり始めています。今週は、その流れを象徴する3つのトレンドをご紹介します。

AI活用は「イベント運営」から「イベント設計」の時代へ

生成AIの普及により、海外ではイベント企画そのものをAIが支援する動きが加速しています。

従来は、

  • 議事録作成
  • チャットボット
  • FAQ対応

といった運営業務の効率化が中心でした。

しかし現在では、

  • イベントプロジェクト管理
  • 来場者属性から最適なセッション構成を提案
  • ネットワーキング相手のレコメンド
  • スポンサー価値のシミュレーション
  • 会場レイアウトの最適化

など、イベント全体を設計するAIへと進化しています。今後は「AIを使うイベント会社」が強いのではなく、AIと人間が共同でイベントを設計する会社が競争力を持つ時代になりそうです。

「レガシー(Legacy)」が世界のMICEキーワードに

ICCA(国際会議協会)でも近年最も注目されているテーマの一つがLegacy(開催後に地域へ残す価値)です。

例えば、

  • 地域大学との共同研究
  • 地元企業とのビジネスマッチング
  • 人材育成
  • SDGsへの貢献
  • スタートアップ支援

など、イベント終了後も地域へ価値を残すことが、開催都市選定の重要な評価項目になっています。実際に、バルセロナ・コンベンションビューローでは、2025年から開始したLegacy Programの初期成果を公表し、国際会議を地域課題の解決につなげる取り組みを強化しています

サステナビリティは「アピール」から「証明」の時代へ

欧州を中心に、

  • CO₂排出量
  • 廃棄物削減
  • 食品ロス
  • 地産地消

などを数値で示すことが求められるようになっています。海外では「Green Event」という言葉だけでは評価されず、どれだけ削減できたかまで示すことが重要になっています。

業界調査では、多くのイベントプランナーが会場やサプライヤー選定時にサステナビリティを重視し、今後は政府による環境報告の義務化を見込む声も増えています。

編集部コメント

今回紹介した3つのトレンドには共通点があります。それは、「イベントの成果」が、開催当日だけでは測れなくなっていること。

AIによる企画高度化、地域へのレガシー創出、サステナビリティの可視化。

これからのイベント担当者には、”運営力”だけでなく、”価値を設計する力”が求められる時代になってきています。日本でも今後、企業イベントやMICEにおいて、こうした世界基準を取り入れる動きはさらに加速していくでしょう。