【世界のイベントから学ぶ】CESに学ぶ。「展示」ではなく「未来」を体験させるイベントのつくり方
毎年1月、アメリカ・ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー展示会「CES(Consumer Electronics Show)」。世界中の企業、スタートアップ、投資家、メディアが集まり、その年のテクノロジートレンドを占うイベントとして知られています。
AI、自動運転、ロボティクス、スマートホーム、ヘルスケア、モビリティ——。毎年数千社が出展し、数十万人規模の来場者が訪れます。しかし、CESが世界中から注目される理由は、単に最新製品が並んでいるからではありません。「未来の暮らしを体験できる展示会」であることが、多くの人を惹きつけているのです。
製品ではなく、未来の生活を見せる
CESのブースでは、製品単体を説明する展示はそれほど多くありません。例えば、自動車メーカーであれば、「新型車です」ではなく、「この車が普及すると、人の移動はこう変わる」という未来のストーリーを伝えます。
家電メーカーであれば、「AI搭載冷蔵庫」ではなく、「AIが家庭の暮らしをどう変えるか」を体験として見せています。
つまり、来場者が見ているのは製品ではなく、その製品によって実現する未来なのです。
来場者は”説明”より”体験”を求めている
CESの人気ブースには共通点があります。それは、説明員が長く話すブースではなく、来場者自身が体験できるブースであることです。
実際に操作し、実際に触れ、実際に試す。
その数分間で価値を理解してもらう工夫が随所に見られます。企業イベントでも同じです。長い説明資料を用意するより、「参加者が体験する時間」を増やす方が、印象に残るイベントになります。
ブース全体がブランドメッセージになっている
CESでは、ブースデザインにも大きな投資が行われます。しかし、それは豪華に見せるためではありません。
例えば、
- 光の演出
- 音響
- 映像
- 香り
- 動線
- スタッフの接客
まで含めて、企業ブランドを表現しています。来場者は無意識のうちに、「この会社らしい」という世界観を感じています。イベントでは、ブースデザインも重要なコミュニケーションの一つなのです。
メディアが取り上げたくなる”絵”をつくる
CESでは、毎年SNSやニュースで拡散される展示が数多く生まれます。それらに共通しているのは、「写真を撮りたくなる」「動画を撮りたくなる」演出です。
巨大スクリーン、インパクトのあるオブジェ、没入型の空間演出、AIとのインタラクションなど、来場者が自然とスマートフォンを向けたくなる仕掛けが用意されています。
これは企業イベントでも参考になります。イベント終了後もSNSやメディアで話題になるためには、写真映えする体験を最初から設計することが重要です。
データを次のイベントへつなげる
CESでは、多くの出展企業が来場者データを活用しています。
どの展示に人が集まったのか。どの体験コンテンツが人気だったのか。どんな質問が多かったのか。こうしたデータを分析することで、翌年の展示内容やマーケティング施策の改善につなげています。
イベントは開催して終わりではありません。データを蓄積し、次回の成果につなげることが、継続的なイベント改善には欠かせません。
近年では、イベント運営を支援するデジタルツールの活用が進み、参加者情報やタスク、アンケートなどを一元管理することで、こうした改善サイクルを回しやすくなっています。
日本のイベント担当者が学べること
CESから学べることは、「最新テクノロジー」だけではありません。
むしろ重要なのは、
- 製品ではなく未来を語る
- 説明より体験を増やす
- 世界観をブース全体で表現する
- SNSで拡散される演出を設計する
- データを活用して次回につなげる
というイベント設計の考え方です。これらは展示会だけでなく、新製品発表会、社内イベント、カンファレンス、プライベートショーなど、さまざまな企業イベントで応用できます。
編集部からの考察
第1回ではワールドカップのファンゾーンから「体験価値」の重要性を、第2回ではSXSWから「街全体を会場にする発想」を学びました。そして今回のCESでは、「展示会は製品を並べる場所ではなく、未来を体験してもらう場所」という考え方に触れました。
企業イベントは、情報を伝える場から、ブランドやビジョンを体感してもらう場へと進化しています。そのためには、コンテンツだけでなく、空間、導線、演出、そしてイベント後に残るデータまで含めて設計する視点が欠かせません。
世界のトップイベントを見ていると、共通しているのは「参加者の記憶に残る体験」をつくることに徹底している点です。日本のイベントも、その視点を取り入れることで、より価値ある場へと進化していくでしょう。







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