ビジネスイベントを「都市戦略」にした国シンガポール、面積は東京23区ほどで、人口は約600万人。それでも世界中の国際会議、展示会、企業イベントが毎年シンガポールに集まります。
MICE業界では、「アジアで開催するなら、まずシンガポール」と言われるほど圧倒的なブランドを築いています。では、なぜここまで選ばれるのでしょうか。
成功理由①:MICEを観光ではなく「産業政策」と考えている
シンガポール政府はMICEを「観光」ではなく、産業競争力を高めるための国家戦略として位置付けています。
例えば
・金融
・医療
・AI
・半導体
・物流
・航空
・エネルギー
それぞれの成長産業ごとに世界規模の展示会・国際会議を開催しています。
つまり、イベントそのものが目的ではなく産業を成長させるためにイベントを活用しているのです。
成功理由②:世界トップクラスの会場とホテルが徒歩圏内
代表例がMarina Bay Sandsです。ホテル、展示会場、会議室、商業施設、レストラン、エンターテインメント。これらが一つのエリアに集約されています。参加者は
空港到着
↓
ホテルチェックイン
↓
展示会参加
↓
商談
↓
会食
↓
ナイトイベント
までほぼ徒歩で完結できます。この”移動ストレスの少なさ”は、参加者満足度を大きく高めています。
成功理由③:世界中からアクセスしやすい
シンガポールのチャンギ空港は、世界有数のハブ空港です。アジア主要都市の多くが数時間圏内にあります。さらに
・入国しやすい
・公共交通が分かりやすい
・英語が通じる
・治安が良い
こうした「安心感」が主催者から高く評価されています。
成功理由④:官民連携が圧倒的に強い
シンガポール政府観光局(STB)は、会場、ホテル、航空会社、展示会主催者、行政、大学、企業を巻き込みながら都市全体でMICEを誘致しています。
「会場単独」ではなく、都市全体が一つのチームになっていることが最大の特徴です。
成功理由⑤:サステナビリティまでブランド化
最近では
・CO₂削減
・サステナブル認証
・廃棄物削減
・環境配慮型イベント
にも積極投資しています。企業が開催地を選ぶ際にESGや環境配慮を重視する流れを見据え、MICE施設向け認証制度や支援策も進めています。
日本が学ぶべきポイント
シンガポールが成功した理由は豪華な施設だけではありません。重要なのは「イベントを開催する」ではなく、イベントによって産業を成長させるという発想です。
例えば、東京ならAI、名古屋なら自動車、大阪ならライフサイエンス、福岡ならスタートアップ、北海道ならGXなど、地域産業とMICEを結び付けることで世界中から人・企業・投資を呼び込むことができます。
編集部の考察
日本には世界に誇る展示会場やコンベンション施設が数多く存在します。しかし、シンガポールの強さは施設単体ではなく、「都市全体が一つのMICE会場」として機能している点にあります。
会場、ホテル、交通、行政、観光、産業振興が一体となって参加者体験を設計することで、「またこの街で開催したい」という価値を生み出しています。
日本でも大型施設の新設だけでなく、都市全体の回遊性や産業との連携を含めた「MICE都市デザイン」が今後ますます重要になるでしょう。








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