イベントは、開催当日がゴールではありません。

本当に成功しているイベントは、開催後も参加者とのつながりが続き、新たなビジネスや学びが生まれています。その代表例は、Salesforceが毎年サンフランシスコで開催する世界最大級のビジネスカンファレンス「Dreamforce」です。

世界中から約4万人以上が現地に集まり、オンラインを含めると数十万人規模が参加するこのイベントは、新製品発表会ではなく、「Salesforceコミュニティの祭典」とも呼ばれています。今回は、Dreamforceから企業イベントが学ぶべき「コミュニティづくり」の考え方を紹介します。

イベントの主役は企業ではなく参加者

一般的な企業イベントでは、

・新サービスの紹介
・講演
・製品デモ

が中心になります。一方、Dreamforceでは、「参加者同士が学び合うこと」。そのものが大きな目的になっています。数百を超えるセッションだけではなく、

・ユーザー同士の交流

・業界別コミュニティ

・認定資格保有者の交流

・製品別ユーザー会

など、多数のコミュニティプログラムが用意されています。つまり、企業が情報を届けるイベントではなく、参加者同士が価値を生み出すイベントになっているのです。

成功事例が最大のコンテンツになる

Dreamforceで人気が高いのは、Salesforce社員ではなく、実際の利用企業による講演です。

「導入したら売上が○%伸びた」

「営業効率が改善した」

「顧客満足度が向上した」

こうしたリアルな体験談が、多くの参加者の共感を集めます。企業イベントでも同じです。製品紹介よりも、ユーザーの成功体験の方が説得力があります。参加者は「企業の話」より、「同じ立場の人の話」に耳を傾ける傾向があります。

学びだけで終わらせない

Dreamforceでは、参加することで

・認定資格

・スキルアップ

・キャリア形成

につながる設計がされています。イベントが終わっても、参加した経験そのものが資産になるのです。企業イベントでも、

例えば

・参加証明書

・修了証

・限定コンテンツ

・オンラインアーカイブ

などを提供することで、イベントの価値を継続させることができます。

会場全体がコミュニティスペース

Dreamforceでは、講演会場だけでなく、街中に交流スペースが数多く設けられています。

・ラウンジ

・カフェ

・スポンサーブース

・ネットワーキングエリア

・体験コーナー

参加者は自由に行き来しながら、自然と新しい人との出会いが生まれます。企業イベントでも、休憩スペースや展示エリアを単なる待機場所にせず、交流が生まれる空間として設計することで、参加満足度を高めることができます。

イベント後も関係が続く仕組み

Dreamforceが高く評価される理由の一つが、イベント終了後もコミュニティ活動が続くことです。オンラインコミュニティ、地域ユーザー会、定期勉強会、SNSでの交流など、イベントが新たなつながりのスタート地点になっています。

企業イベントも、「開催して終わり」ではなく、イベント後のフォローまで設計することで、顧客との関係性をより深めることができます。

日本企業でも取り入れられるポイント

Dreamforceから学べるポイントは数多くあります。

① ユーザー同士が交流できる時間を増やす

講演だけではなく、参加者同士が話せる時間を設計する。

② 成功事例を主役にする

企業担当者よりも、顧客のリアルな声を届ける。

③ イベント後も情報発信を続ける

コミュニティサイト、メールマガジン、オンライン勉強会など、継続的な接点をつくる。

④ コミュニティを資産として育てる

イベントを「単発施策」ではなく、長期的なコミュニティ形成の入り口として位置づける。

編集部からの考察

第1回では「体験価値」第2回では「街全体を会場化する発想」第3回では「未来を体験させる展示」を紹介しました。

そして今回のDreamforceから学べるのは、イベントは”一日限り”ではなく、参加者との長期的な関係を育てる場であるという考え方です。

これは、BtoBイベントを開催する企業にとって特に重要な視点ではないでしょうか。イベントの成功は来場者数だけでは測れません。イベントをきっかけに、新たなコミュニティが生まれ、参加者同士が学び合い、ビジネスにつながる——。

そのような「関係性」をデザインすることこそ、これからのイベント担当者に求められる役割なのかもしれません。